2018年09月16日

幻夏(太田愛)


// = | (p74)


「そいつは『叩き割り』だ」
 …―… 
「決定的な物証がない場合、取り調べであらゆる手段を使って被疑者を精神的に追い込み、自白させる。そういうやり方のことだ。実際、冤罪事件のほとんどには自白がある」 (p120)


「無実の人間を八年間投獄する捜査が適正なのであれば、何が不適正なのか私には想像もつきませんが」 (p193)

冤罪が生まれるのは偶然じゃない。捜査、起訴、公判、判決、全てを含めた司法構造から必然的に冤罪が生み出されている。この構造がある限り
 …―… 
冤罪被害者は永久にいなくならない。 (p443)



『十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ』。しかし、君は本当に世間がそのような社会を望んでいると思うのかね? 一人の無辜を守るために、十人の真犯人を逃すような社会。そんな危険極まりない社会を人々が心底、望んでいるとは私には思えないね。
 …―…  
世間は、力を持つ者の力の行使を容認する。スポーツであろうと、企業であろうと、司法であろうと、勝つこと、利益を上げること、犯罪者を罰すること、大きな結果を上げるためには目を瞑らざるを得ないこともある。 (p443)



 「相棒」などの脚本で知られる著者の第二作。「相棒」でも度々テーマとなる「自白の強要による冤罪」を扱った司法の信を問うミステリ。社会構造に虐げられた弱者による逆襲も、強者に大きな瑕を付けるには至らないという現実的な結末に、悲哀を感じざるを得ませんでした。
 久々の一気読み、著者の第一作も入手せねば。



posted by 千木良 at 23:00| Comment(0) | 読書記録|93日本文学小説・物語 | 更新情報をチェックする
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