「その人間の本質って、たいがい第一印象どおりのものでしょう。親しくなったら、そのぶん相手をよく知ることができる、というわけでもない。ひとは、言葉や態度でいくらでも自分を装う生き物だからね」 (p48)
「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」 (p105)
「いくら期待しても、おまえの親が、おまえの望む形で愛してくれることはないだろう」
…―…
「だけど、まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、あまえは新しくだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されてる」 (p163)
愛情というのは与えるものではなく、愛したいと感じる気持ちを、相手からもらうことをいうのだ (p196)
不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはないと思う。 (p288)
東京のはずれ「まほろ市」を舞台に。まほろ駅前で便利屋を営む多田と、そこに転がり込んだ同級生・行天の二人が関わる依頼にみえる様々な人間関係を軽やかに、でもテーマは重めかな。印象的な言葉がちりばめられた作品でした。映画は見てないが、瑛太さんと松田龍平さんで脳内再生されていました、テレコだったけど。第135回直木賞受賞作。